目次
はじめに
冬山の燃料は「ガソリン」と言われたのは遥か昔。
今じゃ、「冬用・ガスカートリッジ」で厳冬期の北アルプスや八ヶ岳もOK!
ヒマラヤ等の高所登山でもガスが使われています。
ガスが一般的ですが、あえてその他の選択肢も考えてみました。
想定状況
- 雪山で1泊~3泊位
- 山行人数は1~4人
- 季節は冬~5月、山域は北ア、南ア、上越、等。
- 水は雪から作る。
- テント内の暖房にもコンロを使用する。
自己責任でお願いします。テントの換気に注意! - コッフェル、コンロの汎用性重視。パーティーの人数に対応するため。
→JETBOILの様な単独山行に特化した物は除外する。
ガス
欠点が無いわけじゃないけど、取扱いが簡単、安全で軽量なガスが一般的です。
ガス・カートリッジは夏用(常温用)と冬用(低温用)があります。
ガス・バーナー
想定状況でのお勧めガス・バーナーは以下です。
単独行のみしか考慮しなければ、もっと軽量な物はありますが、単独~4人ではコレが良いと思います。
- PRIMUS / 153ウルトラバーナー:116g 私はコレを使用しています。軽量、小型でパワーもあり。
- EPI gas / REVO-3700 STOVE:111g 軽量でパワーも十分。
気化熱による燃焼性能低下
昔、ガスは低温に弱いと云われていました。
なぜか?
ガスカートリッジの内部では液体ガスが気化して燃焼しています。
この時、気化熱で液体ガスが冷えていくのです。
ただでさえ周囲の低温で液体ガスが冷えているのに、さらに気化熱で冷えると、気化し難くなります。
気化し難いという事はガスが出にくくなるという事です。
これらを改善するために、バーナーの火の熱をカートリッジに伝えるアクセサリーもあります。
EPI / フリーライトチャージャーII :使っていますが、効き目があるのかよく分からない。
ガス・カートリッジ
夏用(常温)と冬用(低温)があります。
冬用(低温)は低温に強い成分になっています。
- PRIMUS / ガスカートリッジ :ハイパワーガス(小)NET:225g
- EPIgas / 230 パワープラス:NET:225g
PRIMUS と EPIgas のガス・カートリッジは互換性があります。(メーカー非公認ですが)
なので、PRIMUSのバーナーにEPIgas のガス・カートリッジが装着できますし、逆を可能です。
登山中のカートリッジの管理
パーティーの人数が3人以上の雪山でガスカートリッジの数が多くなると、残りの燃料が把握し難くなります。
なので、カートリッジに番号を予め記入しておくと管理しやすくなります。
それに誰のカートリッジだかすぐに分からなくなります。
中には1個のところを使いかけ2個持ってきてたりします。
なので、名前と番号をカートリッジに書いておいた方が良いです。
液出し・ガス
ガス・カートリッジを逆さまにして、液化ガスをバーナーまで持ってきて、気化させる。
こうするとカートリッジ内の気化熱の温度低下が無くなり低温での燃焼効率が低下しない・・らしい。
日本国内では認可されてない掟破りの技です。
- OPTIMUS / VEGA :ガス専用
- OPTIMUS / POLARIS OPTIFUEL :ガス&石油系燃料
- MSR / WHISPERLITE UNIVERSAL :ガス&石油系燃料
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ガスの欠点
たいした欠点じゃないけど、以下の事があります。
- 途中まで使った半端な容量のガスカートリッジが(家の中に)ゴロゴロ溜まっていく。
→燃料容器の入れ替えができない。(メーカー非推奨で入れ替え用具はある) - 長期山行等ではガスカートリッジが増えて邪魔。
- ガスカートリッジの価格が高い。
MSR/ウィスパーライト イン ターナショナル
ガソリン
低温でも何の問題無く元気に働いてくれます。
厳冬期の北アルプス、八ヶ岳でもOKです。
ホワイトガソリンがメーカー推奨ですが、自動車用ガソリンでも問題無く燃焼しています。
自動車用ガソリンはジェットが詰まりやすくなるので注意です。
1990年頃はコイツが冬山の標準装備でした。ホエーブスの生産中止後(1992年)はどこの山岳会もコイツを使っていました。
灯油
低温では使い辛いです。
- プレヒートに時間がかかる。ガソリンの2倍以上のプレヒート燃料が必要です。
足りないと炎がボワッと50㎝位上がり危険です。 - 弱火にするとヘッドが冷えてしまい、中火以上にできなくなる。
この場合、追加のプレヒートが必要になる。
OPTIMUS/NOVA
常温では全く問題無しですが、低温では問題ありです。
ガソリン、灯油共に低温では非常に使い辛いです。
弱火から中火以上にすると、火が消えます。
弱火状態ではヘッドが冷えてしまうようです。
追加のプレヒートが必要になります。
自動車用ガソリンを使うと本当に詰るのでホワイトガソリンがお勧めです。
アルコール・ストーブ
私はアルコールストーブをメインで使った事はありません。
一般的には低温に弱いので、冬山で使っている人を見たことがありません。
しかし、低温に強いというウリの製品もあり注目しています。
- トランギア/アルコールバーナー TR-B25:元祖。低温ではプレヒートしたり、無理矢理使うオプション有り。
- エバニュー(EVERNEW) チタンアルコールストーブ EBY254:普通に低温に弱いらしい。
- RiverSideRambler/アルコールストーブ:低温に強いらしい。
- FINAL FLAME GEAR / アルコールストーブ FAS-30T:低温に強いらしい。
ただ、火力調整が出来ないので、調理には向かないと思います。
日帰りで、お湯を沸かすなら軽量で良いかも。
また、アルコール燃料はガスやガソリンに比較して、「重量当たりの熱量」が低いです。
同じ量のお湯を沸かすのにアルコールはガソリンの2倍必要になります。
発熱量(kJ/g)
- ガス:49~54
- 灯油:46.2
- ガソリン:47.0
- アルコール(エタノール):29.7
多量の熱量(燃料)が必要な場合はアルコール燃料は向いていないと思います。
アルコール固形燃料
私は固形燃料をメインで使った事はありませんが、特徴、使い道を書いておきます。
- 低温でも着火、燃焼OK!
厳冬期の北アルプスでも問題無し。 - 液体アルコールの同容量と比較しても熱量は高いと思われます。
- 保存性が良い。
20年以上保存可能らしい。確かに20年以上昔買ったメタは普通に使えました。 - 熱量が高いので、床方向へ高温になる。プラスティック系の製品は熱で溶けてしまいます。
- 火力の調整ができない。
- 燃焼時の臭いが臭い。
私はアルコール固形燃料の用途はガソリンストーブのプレヒートか、非常用としか思っていませんでしたが、調理用として使っている人もいるようです。
火力調整が出来ないので、雪を融かしたり、お湯を作るのはできるけど、調理はやりづらいと思います。
ガスと石油系燃料との併用
冒頭にも書きましたが、「ガスカートリッジがゴロゴロ増えて困る」場合、石油系燃料とガス燃料の併用もアリです。
5月の雪山で多量の水を作る時、ベースキャンプで移動がない時、等はいいかもしれません。
- 常時点火している暖房的な使い方には石油系燃料
- 火力調整が必要で、すぐ使いたい場合はガス燃料
まとめ
- 一般的には冬用ガス
- 石油系燃料ならMSRでガソリン
コメント
面白く読ませていただきました。ウィスパーライトの愛用者です。
メタはアルコール系のようですが、エスビットはヘキサミン(ヘキサメチレンテトラミン)だそうです。
コメントありがとうございます。
エスビットは臭いがきついのと燃えカスが残るので、それが無いメタの方が好きでした。
メタがなくなったのは残念です。
液体アルコール燃料も試してみましたが、火力がイマイチでしたね~。